ツンデ恋歌




──ブーブー…

携帯のバイブが鳴っている
どうせまたアイツからのメールだろう…



学校までの長い坂道は、朝の弱い日差しでも汗ばむ程急で…
メールなんて見る気もしない…

特に、アイツからのメールはくだらないものだし…



「レンくーん!」

どうせ今日も嫌という程一緒にいるんだし…


「おはよッ♪メール見た?」

「(無視)」

「ねぇ、聞いてんの?」

只でさえこの坂道と日差しで暑いのに隣で顔を近付けてくる…

「あ"ーうるさいなぁ、見てないよ」

「なんで」



「面倒くさい」

「ひどいよ!!私レン君のこと好きなのに…」


ほんと恋なんてくだらない…
どうせ空想の中だけでしょ

そう思っていても悲しい顔をする彼女を見て、思わず携帯を取り出しメールを見てしまう…


「………はぁ…」


がさがさ…

「……?」

「ほら…理科でしょ?」


メールの本文には
【理科のノート貸して】の一文と“大好き”の一文字が絵文字と一緒に並んでいた


「わぁ!!ありがとう」

笑顔で見つめる彼女に少し赤面するが

「別に…」

と一言だけそっぽを向きながら言う…



.




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